■9・11との違い

 2001年9月11日の米同時多発テロでハイジャックされた飛行機は、携帯電話の通信圏内にある地域の上空を比較的低い高度で飛行していたと、専門家らは指摘している。ただ、機内からの通話の大半は、携帯端末ではなく座席に備え付けの電話機からかけられていたとみられている。

 最近では、一部の航空会社が、機内に小型の携帯基地局を設置することで、飛行中に乗客が自分の電話を使えるようにする技術を導入しているが、マレーシア航空は、MH370便ではこのサービスは利用できなかったとしている。

 民間航空機の場合、これなしでは、およそ500メートル以上の高度で携帯電話を使用することはできず、携帯基地局から離れすぎていてもだめだと、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学(University of Western Ontario)のA・K・ドゥードニー(A.K. Dewdney)名誉教授(コンピューター科学)は指摘する。

「たとえ低空飛行していたとしても、海上を飛ぶ航空機からは携帯電話は使用できない」。同時多発テロ後に、空中での携帯電話機能についての実験を行ったドゥードニー氏は語った。「通常の巡航高度では、完全に電波塔の通信圏外にいるため、携帯電話を使って地上と連絡を取ることはとうてい不可能だ」