【3月19日 AFP】ビルマニシキヘビは体内の「コンパス」を使って、生息する場所から数十キロ離れた場所に放たれたとしても、真っ直ぐに元の場所に戻ることができるとした研究が、19日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された。

 ニシキヘビは体長5メートル以上に成長することもある世界最大級のヘビ。本来の生息地は南アジアおよび東南アジア地域だが、米フロリダ(Florida)州のエバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)では、以前ペットとして飼われていたものが捨てられたとみられる個体が繁殖しており、問題となっている。

 研究チームはエバーグレーズ国立公園でニシキヘビ6匹を捕獲し、無線発信器を埋め込んだ後にそれぞれを密封したプラスチックの容器に入れて21キロ~約36キロ離れた場所へと運んだ。そして各地点でヘビを放ち、それぞれが移動する方向と速度を測定した。

 結果、ヘビたちは即座に捕獲された地点に向かって移動を始めた。6匹のうち5匹は最終的に捕獲された地点から5キロ以内に帰還。残る1匹は目的地に向かっている途中で進路がそれたという。

 ヘビたちの移動は94~246日かかった。研究チームは論文で「すみかに戻ることに高い意欲」を見せたと述べた上で、「同研究はビルマニシキヘビがナビゲーション用の地図とコンパスのような感覚を備えていることについての新たな証拠を提供した」と結論づけた。

 このようなナビゲーション能力があることは、ニシキヘビに極めて鋭敏な縄張り意識があることを推察させる。このことから、ヘビが繁殖する可能性のある場所について予測を立て、ヘビの繁殖を防止することが可能になるかもしれない。

 同様の帰巣能力を備えているヘビは、他に見つかっていない。(c)AFP