【3月17日 AFP】ロシアの国営テレビ局の看板キャスターが16日、ロシアは米国を「放射能の灰」にすることができる唯一の国だと発言した。ウクライナのクリミア(Crimea)半島で行われたロシア編入の是非を問う住民投票をめぐり緊張が高まる中、発せられた挑発的な発言だ。

 国が運営するロシア第1チャンネル(Rossiya 1)のニュースキャスター、ドミトリー・キセリョフ(Dmitry Kiselyov)氏は、毎週日曜に放映される自分のニュース番組で、「ロシアは現実的に米国を放射能の灰にする能力を備えた世界でただ一つの国だ」と語った。

 この発言は、米国とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、ウクライナ危機をめぐってウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いるロシアに対し恐怖心を抱いているとの持論を裏付けるためのものだった。

 番組に登場したキセリョフ氏の背景には、巨大なキノコ雲の写真と「放射能の灰に」との文字が映し出された。続いてスクリーンには世論調査結果が映され、「アメリカ人たちも、プーチン氏の方がオバマ氏よりも強い指導者だと考えている。なぜオバマ氏は頻繁にプーチン氏に電話をかけ、何時間も話しこんでいるのか」と述べた。

 キセリョフ氏はまた、「敵の核攻撃を受けた後、われわれの司令部の人員全てとの連絡が途絶えたとしても、システムは自動的に、地下施設や潜水艦からミサイルを正確な方角に発射する」と述べ、ソ連時代に使用されていた自動反撃システムが現在も運用されていることを示唆した。

 キセリョフ氏はロシアで最も扇動的なニュースキャスターの一人と目されており、特に同性愛を嫌悪する露骨な発言がよく知られている。だが同時に、日曜夜ゴールデンタイムに放送される同氏のニュース番組は高い影響力を誇っている。

 キセリョフ氏は昨年、プーチン大統領が新設した通信社「ロシアの今日(Russia Today)」のトップに指名されている。「ロシアの今日」はロシア政府の公式見解をより広める目的で、国営ロシア通信(RIA-NOVOSTI)に置き換わる形で設立された。(c)AFP/Stuart WILLIAMS