【3月17日 AFP】マレーシア政府は16日、同国の警察が、消息を絶ったマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便の機長と副操縦士の自宅を15日に捜索したことを明らかにした。警察は、同便が意図的に針路を変更させられた可能性が高くなったことを受け、刑事事件としての捜査を本格的に開始している。

 ヒシャムディン・フセイン(Hishammuddin Hussein)運輸相代理の発表によると、警察は、機長の自宅にあったフライトシミュレーターを調査した。

 専門家によると、通信システムの無効化には専門知識が必要なことから、ザハリ・アフマド・シャー(Zaharie Ahmad Shah)機長(53)とファリク・アブドル・ハミド(Fariq Abdul Hamid)副操縦士(27)に対して特に厳しい捜査が行われている。

 また米下院国土安全保障委員会のマイケル・マコウル(Michael McCaul)委員長が米FOXニュース(Fox News)に語ったところでは、米情報当局もまた、機長と副操縦士に焦点を当てて捜査を実施している。

 機長と副操縦士の友人や同僚は、2人は善良な人物だったと話しているが、ザハリ機長が自宅に設置していたフライトシミュレーターには疑念が向けられている。ただ、航空専門家らは、自宅へのシミュレーター設置は珍しいことではないと話している。

 また、ザハリ機長については、同性愛行為の罪で裁判にかけられているアンワル・イブラヒム(Anwar Ibrahim)元副首相が率いる野党と深いつながりがあることが発覚した。イブラヒム元副首相の裁判では、MH370便がクアラルンプール(Kuala Lumpur)を出発した前日の7日、2012年に出された無罪判決が覆され、禁錮5年の判決が言い渡されていた。

 だが当局は、同機長の政治的なつながりが捜査で取り上げられているかどうかは明らかにしていない。

 一方のファリク副操縦士については、ある女性が、以前のフライトでファリク副操縦士が、自分と友人を操縦室の中に入れてくれたと明かしたことから、その経歴が疑問視されている。

 ただ、ヒシャムディン運輸相代理は、捜査について「結論を急がないように」と注意を促しており、マレーシア警察庁のハリド・アブ・バカル(Khalid Abu Bakar)長官もまた、MH370便に搭乗していた乗客乗員239人全員が捜査対象にあると強調している。

 また同運輸相代理は、前日のマレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相と同様に、ハイジャックという言葉の使用を避け、事態のパターンは機内の誰かによる「意図的な行動」と一致しているとしか語らなかった。 (c)AFP/Giles HEWITT