【3月13日 AFP】交際相手のリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さんを射殺したとして殺人罪などに問われている南アフリカの両足義足のランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告(27)の裁判で12日、重要な証拠の取り扱いで不備があったとする弁護人の主張を捜査当局が認めた。

 法医学分析官のゲルハード・バーミューレン(Gerhard Vermeulen)氏は、事件に大きく関わる被告宅のバスルームのドアについて法廷で証言し、慎重な取り扱いを怠ったために重要な証拠が失われ、検察側の主張に大きな影響がでる可能性があると述べた。

 事件当時、「ブレードランナー」の異名で知られたピストリウス被告は、鍵のかかったバスルームのドアの向こう側にいたスティンカンプさんに向けて4回発砲し、その後、クリケットのバットでドアを破って中に踏み込んだとされる。そのため、このドアの扱いに不備があったとすると、事件の経緯を明らかにする法医学的に重要な銃弾の弾道を示す証拠や法医学的な証拠が失われることになる。

 バーミューレン氏は、警察官が履いていたブーツと一致する足跡が、バスルームのドアを撮影した写真で確認できたこと、さらに後にその足跡が消されていたことを認めた。また同氏によるとドアはいったん外されて別の場所に立てかけられただけでなく、一部欠損した破片の行方が分からなくなっているという。

 法医学捜査の専門家は、法廷は今後、証拠がその価値を失うほどに損なわれてしまったのかどうかを判断しなければならないと述べた。(c)AFP/Stephanie FINDLAY