【3月12日 AFP】リビア東部の反政府勢力が制圧している港湾ターミナルで、原油を積み込んだタンカーが11日に海軍艦艇を振り切って出港したことを受け、リビア議会は同日、アリ・ゼイダン(Ali Zeidan)首相の不信任案を賛成多数で可決し、同首相を解任した。

 北朝鮮の国旗を掲げたタンカー「モーニング・グローリー(Morning Glory)」は、リビアからの独立を目指す反政府勢力が制圧する同国東部のシドラ(Al-Sidra)港に8日から停泊していた。同タンカーは少なくとも23万4000バレルの原油を積載しているとされる。昨年7月に反政府勢力に制圧されて以来、同港から原油を積載して出港した船舶はモーニング・グローリーが初めて。

 独立した自治政府を一方的に宣言している反政府勢力が、国営石油会社の認可を受けずに購入した原油を載せてタンカーが逃走するのを防ぐために、リビア政府はタンカーを爆撃すると脅してさえいた。しかし気象条件が悪く、高速の小型哨戒艇が中心だった海軍の部隊は、大型のタンカーが地中海(Mediterranean Sea)へと出て行くのを阻止することができなかった。

 一方、リビア議会によるとゼイダン首相の後任には暫定的に、アブドラ・シンニ(Abdullah Thinni)国防相が就任した。正式な新首相は2週間以内にも選出される見込み。

 リベラル派の支持を受けていた無所属のゼイダン氏は、約40年間に及んだ故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の独裁を崩壊に導いた2011年の民衆蜂起後に独立を一方的に宣言した反カダフィ体制派の元民兵たちを押さえ込むことができなかった。また昨年10月には、ゼイダン氏が首都トリポリ(Tripoli)市内で元民兵たちに短時間ながら拉致される事件も起きていた。(c)AFP/Imed Lamloum