ランザ容疑者は、ティーンエージャーになるころまでに、オンライン百科事典のウィキペディア(Wikipedia)で、人々の注目を集めたさまざまな大量殺人事件に関する項目を編集するようになっていた。

 幼いころから「重度の社会的障害」を抱えていたことが、同じ年ごろの友人たちとの交流を困難にさせ、母親との間の緊張状態を深刻化させていった。例えば子どものころ、容疑者は「汚れることを恐れて」ドアのノブなどの金属に触れることを拒否し、母親がそれらに触ることも嫌がった。また、母親がハイヒールで室内を歩く足音にも文句を付けた。

 そして、容疑者の常軌を逸した行動は一層エスカレートしていき、ある療法士はナンシーさんについて、「まるで自宅軟禁状態」だとしていた。

■生まれるべきでなかった

 ピーターさんは事件の数年前にナンシーさんと離婚。ランザ容疑者は2010年9月、父親との一切の関係を絶ち、それ以来ピーターさんは息子と連絡を取っていなかった。

 ピーターさんは、自分が生きているのは恐らく息子と会っていなかったからだろうと考えている。「後から思えば、アダムは機会さえあれば、ためらうことなく私を殺していただろう」

 インタビューでピーターさんは、事件は自分にとって大きな苦痛であり、息子は生まれなければよかったと感じていると語った。

「自分の子について、そんなふうに思うのは自然なことではない…だがそれが、私が感じていることだ」

(c)AFP