【3月11日 AFP】南アフリカの両足義足ランナー、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)被告(27)が、交際相手のリーバ・スティンカンプ(Reeva Steenkamp)さんを射殺したとして殺人罪などに問われている裁判で、スティンカンプさんの検視を行った医師の痛ましい証言を聞いた同被告が、法廷で嘔吐(おうと)する場面があった。

 10日の公判でプレトリア大学(University of Pretoria)の病理学者、ヘルト・サーイマン(Gert Saayman)氏が、ピストリウス被告が発砲を認めている複数の銃弾でスティンカンプさんが負った傷の検視結果の詳細を述べた際、はた目にも分かるほど体を震わせた同被告は被告席で吐き気を催し、青いバケツの中へ嘔吐した。

 サーイマン氏によると、同被告が撃ったのは「ブラックタロン(Black Talon)」と呼ばれるホローポイント弾で、この種の弾丸は標的の組織を最大限に破壊するため当たると先端がキノコ状に変形し花弁がギザギザした花のように開くという。

 同氏は、ピストリウス被告が9ミリ拳銃で撃った3発の銃弾がスティンカンプさんの身体の4か所をどのように傷つけたのか、詳しく語った。メディアは、同氏の証言をそのまま伝えることを禁じられた。

 同氏はさらに、スティンカンプさんは恐らく死亡する2時間前に食べ物を口にしていたことも明らかにした。これは、ピストリウス被告がスティンカンプさんと一緒に午後10時に就寝したという説明と食い違うとみられる。

 同被告はこの日の公判が終了しても、被告席に突っ伏したままで動かず、兄のカール(Carl Pistorius)さんと妹のエイミー(Aimee Pistorius)さんに慰められてようやく心を落ち着けた様子だった。約10分後、同被告はエイミーさんに腕を支えられて法廷を後にした。(c)AFP/Stephanie Findlay