■政府や金融機関に不信感

 2009年に立ち上げられたビットコインは、違法薬物取引や資金洗浄に利用されて問題にもなっているが、金融界に革命をもたらしたとして称賛されている。だがニューズウィーク誌によると、一方のナカモト氏は、余暇の大部分を趣味の鉄道模型に費やし、ビットコインのコンピューターコードを開発したことから得られる莫大(ばくだい)な富を享受しているようには見えないという。

 ナカモト氏の家族は、同氏がビットコインに関与していることは知らなかったと話している。弟のアーサー(Arthur Nakamoto)さんは兄のことを「非常に頭が良い人間」で、「数学、エンジニアリング、コンピューターなど、何でもこなせる」と説明している。

 だが同時に家族は、ナカモト氏が、自由論を強く信じ、プライバシーを非常に重視し、政府や金融機関への不信感を持つ人間だと語っている。

 ナカモト氏が2度の結婚でもうけた6人の子どものうちの1人、アイリーン・ミッチェル(Ilene Mitchell)さんは、父親から「政府の言いなりにはならないように」と言い聞かせられて育ったと話している。

「中本哲史」氏が2008年に執筆したビットコインの論文には、信用して手数料を支払うことが必要な金融機関を通さない電子マネーシステムの必要性が強調されている。