【3月6日 AFP】イタリアのマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)新首相は5日、投資家たちに向けて国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産、ポンペイ(Pompeii)遺跡修復への支援を訴えた。

 イタリアの文化部門は厳しい予算削減と長い景気低迷に圧迫されており、2014年度予算も昨年より1億ユーロ(約140億円)減の14億ユーロ(約2000億円)に削減される見通しだ。

 こうしたなかで古代ローマ都市のポンペイ遺跡では先週末、壁の一部で崩落が発生。レンツィ首相は「あたかも公共セクターのみが歴史遺産の保護が可能であるかのように考え、民間セクターの介入を拒否するイデオロギーは終わらせなければならない」と強調した。

 イタリア政府は、これまでも国内にある他の世界遺産についても民間企業に支援を呼び掛けている。ローマ(Rome)のコロッセオ(Colosseum)修復作業は伊高級靴メーカーのトッズ(TOD'S)が支援しており、トレビの泉(Trevi Fountain)の修復費用は高級ファッションブランドのフェンディ(Fendi)が負担する計画だ。

■ポンペイ修復の遅延に怒りの声も

 イタリアの古代ローマ遺跡では欧州連合(EU)の支援で大規模な修復作業が行われているが、ポンペイ遺跡のビーナスの神殿(Temple of Venus)などで先週、崩落が発生したことを機に、遅々として進まない修復作業に改めて国際的に怒りの声が出ている。

 これに対しダリオ・フランチェスキー二(Dario Franceschini)文化相は、約200万ユーロ(約2億8000万円)を投じ、「重機を作動」させて遺跡を救うと約束した。

 ポンペイ遺跡では昨年、EUから4180万ユーロ(約60億円)の支援を受け、1億500万ユーロ(約150億円)規模の修復作業が始まった。

 西暦79年の火山噴火で街が灰に埋没したポンペイの遺跡では、建物の一部などの崩落が相次いでおり、遺跡の命運はEU支援の修復プロジェクトにかかっていると認識されている。

 だが4日付の伊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)は、これまでに修復に投じられた金額は基金全体の0.56%に過ぎない58万8000ユーロ(約8000万円)だと伝えている。(c)AFP