■言語の豊かさは生後間もないときから

 スタンフォード大学の心理学者アン・ファーナルド(Anne Fernald)氏は、言語力の差は生後18か月で測定できるとし、その差は2歳の誕生日を迎えるまでに6か月分にもなるという。

 同氏のチームは、米国に住む 低所得のスペイン語家庭で子どもたちが終日耳にする言葉を録音した。その結果、子どもたちは親や世話をする人々が話すのをただ耳にしているときにはあまり学んでおらず、しっかりと学び取っているのは自分に直接話し掛けられたときだった。「文化的感度の高い受け答え」を発達させるためには、子どもに話し掛けることを低所得家庭の保護者に教えることが重要だとファーナルド氏は報告している。

 カリフォルニア(California)州サンノゼ(San Jose)で同氏が行っている実験的プロジェクトでは、ヒスパニック系の母親たちに子どもと言葉を介して触れ合うよう指導し成果を挙げている。「生後24か月までに、母親の話し掛けの多かった子どもはより豊かな語彙を発達させ、話し言葉をより効果的に処理している」という。

 米国では、英語で子どもに話し掛けて、学校に上がる準備をさせたい保護者もいるかもしれないが、通常は自分たちの母語に専念したほうが良いとホフ氏はいう。同氏が発表した研究によると、保護者が第2外国語をしっかり身につけていないと、それを子どもに教えることができないばかりか、複雑な話に子どもを触れさせることができず、子どもの言語発達全体が限られてしまう。

 またバイリンガル教育を子どもにさせたい保護者は、「二つの言葉を覚えるというのは素晴らしいことだが、それには犠牲が伴うことを認識しなければならない。1言語を覚えるのと同じ速さでは、2言語は修得できない」と考慮すべき点を挙げた。(c)AFP/Mira OBERMAN