【2月24日 AFP】スウェーデン国内メディアは23日、アイスホッケーの同国代表選手ニクラス・ベックストローム(Nicklas Backstrom)が、アレルギー治療薬の摂取したため、ドーピング検査で陽性反応を示し、ソチ冬季五輪のアイスホッケー男子決勝に出場できなかったと報じた。

 地元メディアによると、ベックストロームは決勝でカナダに0-3で敗れたあとに行われた記者会見で、「自分にとって最も重要な試合が目前に控えていたが、その2時間前にこの事実を知らされた。それに検査結果は間違っている」と語ったと伝えている。

 スウェーデン五輪委員会(Swedish Olympic Committe)の関係者は、ベックストロームがスロベニアとの準々決勝後に行われたドーピング検査で陽性となった原因が抗アレルギー薬の一種であると、同国の公共ラジオ局スウェーデン・ラジオ(Sveriges Radio)に明かした。

 関係者は、「ニクラスは長年その薬を飲んでいる。禁止薬物ではない」と述べた。

 スウェーデン国内のメディアは、問題となった薬は(鼻炎薬などに用いられる)プソイドエフェドリン(PSE)という物質を含むクラリチンD(Claritin D)だったとみており、この物質は2010年から世界反ドーピング機関(World Anti-Doping Agency、WADA)の禁止薬物リストに再び加えられている。

「何も隠すことはない。この薬は、もう何年も服用しているものだ」と主張するベックストローム選手について、国際アイスホッケー連盟(IIHF:International Ice Hockey Federation)も擁護する声明を出している。

 スウェーデン通信(TT)は、同連盟の医務責任者を務めるマーク・オーブリー(Mark Aubry)氏が「彼は罪のない犠牲者だ」と述べたと伝えた。

 スウェーデン代表チームの指揮官も、ベックストロームのニュースは、決勝を戦うチームのプレーに影響を及ぼしたと、スウェーデンの衛星放送で語った。

「このニュースは想像以上に、われわれに影響した」

「試合の間、間違ったことに気を取られてしまい、気分がよくなかった」

 国際オリンピック委員会(International Olympic Committee、IOC)の反ドーピング規則によると、複数の選手が規則違反を犯したと判明しない限り、ベックストローム問題がスウェーデン代表とチームが獲得した銀メダルに何らかの結果を及ぼすべきものではないとしている。

 ベックストロームは現在、北米アイスホッケーリーグ(NHL)のワシントン・キャピタルズ(Washington Capitals)でプレーしている。(c)AFP