【2月20日 AFP】患者の免疫系を利用してがん細胞を殺す「がん免疫療法」の新手法で、症状が一時的に全て消失する「完全寛解」状態が成人の白血病患者の88%に確認されたと、米研究チームが19日発表した。

 がん免疫療法は科学誌サイエンス(Science)が2013年の画期的成果だと称賛した治療法で、「リビングドラッグ(living drug、生きた薬剤)」とも呼ばれる。

 米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に掲載された最新の試験は、ニューヨーク(New York)の研究者らが、成熟したB細胞性の急性リンパ性白血病(ALL)を発症している16人を対象に行ったもの。ALLはがんの中では治療の可能性が最も高いが、化学療法では患者に耐性がつき、再発に至る例も少なくない。米国では毎年約1400人が死亡している。

 今回の試験では、対象者16人の免疫細胞「T細胞」に遺伝子操作を施し、がん細胞を死滅するまで攻撃するようにしたところ、14人で完全寛解が確認された。16人の年齢の中央値は50歳で、試験開始前には全員が化学療法で効果が得られず死の間際にあった。

 論文の主執筆者でスローン・ケタリング記念がんセンター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)細胞治療科のレニアー・ブレントジェンス(Renier Brentjens)氏によると、寛解状態が最も長く続いている事例は約2年で、この患者の経過は今も良好だという。