【2月18日 AFP】世界フィギュアスケート選手権で3度の優勝経験を持つカナダのパトリック・チャン(Patrick Chan)選手(23)は、ソチ冬季五輪で惜しくも金メダルを逃したものの、その理由を「カナダの呪い」のせいにすることはなかった。

 14日に行われた男子シングル・フリースケーティング(FS)では、チャンの直前に演技した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)がミスを連発したため、表彰台のトップに立つ絶好のチャンスが訪れた。

 しかし、自国で開催された2010年バンクーバー冬季五輪で5位に終わったチャンは、自身もミスを連発。目の前のチャンスをつかむことができず、金メダルに4.47点及ばない合計275.62点で銀メダルという結果になった。チャンは、今大会から採用された団体戦でも銀メダルを獲得している。

■「カナダの呪い」とは?

 カナダの男子フィギュアスケート選手が僅差で金メダルを逃したのは、過去30年間で5度目だ。

 1984年と1988年には現在羽生のコーチを務めるブライアン・オーサー(Brian Orser)が、1994年と1998年にはエルビス・ストイコ(Elvis Stojko)がそれぞれ銀メダルを獲得。「カナダの呪い」は、ここからささやかれるようになった。

 カナダに移住した中国系移民の息子であるチャンは、14日のFSでトップ選手らが「粗い演技」をみせたと認めたうえで、「僕はミスが多すぎた」とコメントした。

「チャンスはあったのに、つかめなかった。世界のトップ選手でも時にはミスをする。五輪でもそうさ。チャンスを今日この五輪で逃したというだけで、僕のキャリアが決まるわけではない。僕がまだ世界のトップスケーターの1人であるという事実は変わらない」

 チャンには、2011年~2013年の世界選手権で金メダルを獲得するなど数々の実績があり、こうしたことからも満足は得られると彼は言い切る。

 昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルでも、羽生に及ばず2位に終わったチャン。今回の出来が悪かった演技について、「五輪だから、緊張も半端ではない。それに、ショートプログラム(SP)からすぐに方向転換しなければならない。寝るのが遅かったので、長い演技に備えて体力を回復させるのは大変だったよ」と語った。

 一方、チャンは「カナダの呪い」については気にとめていないようだ。

「たったひとつのイベントで金メダルを取れなかったからといって、カナダ人スケーターが呪われていることになるなんて、おかしなことだと思うよ」

「カナダに偉大なアスリートたちがいることを忘れてはいけない。これは1つの大会にすぎないんだ。僕も含め、フィギュアスケートという競技に変化をもたらした素晴らしいカナダ人選手は何人もいる。カナダに世界チャンピオンやメダリストが大勢いるのは紛れもない事実だけれど、この大会で金メダルが取れなかったというだけで、実力のある選手たちの成功は忘れられがちだ」

 カナダの男子フィギュアスケート選手はこれまで、五輪で銀5つ、銅4つの計9個のメダルを獲得している。(c)AFP/John WEAVER