【2月18日 AFP】個人間での外貨のやりとりを調整する国際送金サービス「TransferWise」(トランスファーワイズ)は、無料インターネット電話サービス「スカイプ(Skype)」やオンライン決済サービス「ペイパル(PayPal)」の立ち上げに携わった2人のIT専門家が、国際送金にかかる銀行手数料への不満から、2011年に誕生させたサービスだ。

 エストニア出身の共同創業者、ターベト・ヒンリンカス(Taavet Hinrikus)氏(32)とクリスト・カールマン(Kristo Kaarmann)氏(33)が創設した「TransferWise」のウェブサイトは「内緒の手数料、もう秘密にはさせない」とうたっている。

 11年の立ち上げ以来、銀行に挑戦を続ける「TransferWise」について、英ヴァージン(Virgin)グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長は、新興企業のためのコストのかからないビジネスツールだと称賛している。ブランソン氏は最近のブログで「互いの国の通貨を交換したい人や企業を効果的にマッチングすることで、国際送金にかかるコストを劇的に引き下げた」と評価している。

 ヒンリンカス氏は、スカイプの創業当時に入社し、08年まで同社の戦略担当していた。カールマン氏は「TransferWise」の創業前まで、国際会計事務所デロイト(Deloitte)やコンサルタント会社プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopersPwC)などで銀行担当のコンサルタントだった。

 創意あふれるIT技術と金融知識が融合した「TransferWise」のサービスは、国連(UN)の後援で、インターネットを基盤とした極めて優れた事業革新に贈られる「ワールドサミットアワード(World Summit AwardWSA)2013」にも輝いている。

「TransferWise」による国際送金で課される手数料は、送金額200ポンド(約3万4000円)未満はすべて1ポンド(約170円)、200ポンド以上は送金額の0.5%だけで、通常の銀行手数料のおよそ10分の1だ。現在、1日あたりの送金取扱高は100万ポンド(約1億7000万円)前後と事業は活況を呈している。

 欧州連合(EU)は、ユーロ同士のやりとりには手数料を課してはならないと定めているが、異なる通貨間の国際送金を銀行を通して行えば、為替レートに加え、送金額の3~6%の手数料が課される。これが銀行の日常的な収益源となっている。

「TransferWise」の新サービスは欧州全体に顧客を広げている。特に人気があるのは英国、フランス、スペインで、現役世代や引退世代の外国在住者や、事業コストを削減したい中小企業の利用度が高い。

 さらに「TransferWise」ではアジアやアフリカ、米国へ事業を拡大しインドのルピーや南アフリカのランド、豪ドルや香港ドル、シンガポールドルといった通貨を取り扱うことも視野に入れている。(c)AFP/Anneli Reigas