【2月17日 AFP】北極地方の気温上昇は、高高度の寒帯ジェット気流のパターンに恒久的に影響を及ぼしており、その結果、北米と北欧に平年より長くて寒い冬が訪れているとの米国の科学者らによる研究報告が15日、米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合で発表された。

 北半球の高高度を高速で西から東に向けて流れている帯状の風であるジェット気流は、冷たい北極気団が南からの暖かい空気と衝突する際に形成される。

 衝突する空気の温度差が大きいほど、ジェット気流の流れは速くなる。

 米ラトガース大学(Rutgers University)の気候専門家、ジェニファー・フランシス(Jennifer Francis)氏によると、ここ数年は極氷冠の融解の結果として北極気団の温度が上昇しており、その結果、北極気団が低緯度地帯からの空気と衝突する際の温度差が小さくなっているという。

 同氏は「この20年間でジェット気流は弱くなっている。これは測定で示されている」と指摘する。

 その結果ジェット気流は、極北では円を描くように地球を周回するのではなく、本流からそれた川のように曲がりくねって流れ始めている。

 この蛇行した流れによって、凍るような極寒の気候が通常より南の地域に広がったり、気温の上昇が通常より北の地域にもたらされたりしており、そして最も憂慮すべきことは、この傾向が各地域で長期にわたって続くことだろう。