【2月14日 AFP】先史時代の人間がかつて洞窟の壁に塗っていた顔料は、太陽の近くを飛行する無人探査機を保護する一助となるという。欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が12日に発表した。

 ESAは、2017年に打ち上げ予定の太陽観測探査機「ソーラー・オービター(Solar Orbiter)」を焼け付くような熱から守るのを助けるために、遮熱板に黒色のリン酸カルシウムを塗装する予定だ。

 ESAによると、骨を燃やした炭から作られるこの化合物は、3万年前にフランス南部のショーベ洞窟(Chauvet Cave)の壁画を描くのに使われたのと同じ物質だという。

 ソーラー・オービターは太陽に4200万キロの距離まで接近する予定で、その際には温度が520度にまで達する。

 これを切り抜けるには、探査機の運用を多層構造のチタン製遮熱板の背後で行う必要がある。遮熱板の色は、ミッション全体を通して変化しないようにしなければならない。遮熱板が太陽放射をどのように反射・吸収するかを表す「熱光学的」性質が変化すると、探査機に搭載されている破損しやすい機器類が高熱にさらされる恐れがあるからだ。

 ESAによると、この問題は黒焦げの骨炭で解決できるという。骨炭の漆黒色は非常に安定性が高いためだ。

 骨炭は肥料の製造、白砂糖の精製、水からの重金属のろ過など、日常生活で幅広く活用されている。(c)AFP