【2月13日 AFP】遺伝子変異が原因の乳がんと診断された女性は、片方の乳房だけでなく両方の乳房を切除することで生存の可能性が増すとする研究が、11日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)に発表された。

 研究では、BRCA遺伝子の変異で早期乳がんを発症し、両方の乳房を切除した女性100人のうち、87人が20年後まで生存することができるとしている。だが、片方の乳房だけを切除した場合、20年後まで生存できたのは100人のうち66人にとどまるという。

「BRCA1またはBRCA2の変異で早期乳がんを発症した女性に対する最初の治療の選択肢として、両乳房切除術の提案を行うことは妥当であると結論づける」と論文は述べている。

 乳がん発症にはさまざまな要因があるが、最も知られている遺伝的要因はBRCA1とBRCA2の遺伝子の変異だ。女性の約0.2%にこの有害な変異がみられる。

 ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)さんは昨年、BRCA遺伝子の変異が検査で検出され、予防措置として両乳房の切除手術を行ったことを発表した。これを受けて、両方の乳房を切除する治療の有効性について大きな注目が集まっていた。

 研究チームは、1975~2009年にかけて早期乳がんと診断されたカナダと米国の女性390人を対象に調査を実施した。女性は全員BRCA1またはBRCA2の遺伝子に変異があるか、変異のある可能性が高かった。

 390人のうち79人が調査期間中に死亡したが、そのうち片方の乳房のみを切除した人は61人で、両乳房切除を行っていた女性は18人だった。

「20年間の調査期間中、両乳房を切除することで、片方の乳房のみを切除した場合と比べて、乳がんによる死亡率に大幅な(48%)減少がみられた」と研究チームは声明で述べた。