【2月12日 AFP】気候変動の緩和を目的とする巨大風力発電所が実際には問題を悪化させていると懸念する見方があるが、これは的外れだとする研究論文が11日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。

 この4年間に発表された複数の研究結果は、局所的規模では、風力発電所によって発生する乱気流が暖かい空気と冷たい空気の層をかき混ぜることで、わずかに気温を上昇させ、降雨量を増加させる可能性があることを示唆している。

 これにより、巨大風力発電所は遠く離れた場所の気候も変化させるのではとの懸念が高まった。

 2010年に行われたシミュレーションの結果では、風力発電所の風下方向に数千キロ離れた地点の気象状態が著しく変化する可能性があることが明らかになった。

 だが、フランスの気候環境科学研究所(LSCE)のロベール・ボタール(Robert Vautard)氏率いる研究チームが発表した最新の調査結果によると、地域全体を対象とした従来のシミュレーションには、風力タービンの乱気流の影響に関する詳細な情報が不足しているとされ、実際には乱気流の影響はほぼ無視できるほど小さいという。