【2月10日 AFP】おむつなどに埋め込み、ワイヤレス通信で替え時を知らせることができる使い捨ての柔らかい有機センサーを10日、東京大学(University of Tokyo)の研究チームが発表した。

 有機素材によるこの柔らかい集積回路は、電力供給やデータ通信をワイヤレスで行うことができる。開発した東大の桜井貴康(Takayasu Sakurai)教授と染谷隆夫(Takao Someya)教授が率いるチームによれば、インクジェット印刷技術などで高分子フィルム上に作ることができ、低コスト化も見込める。

 高齢化の進む日本では、こうしたセンサーは子ども用おむつだけでなく、大人用おむつへの応用も期待される。通常のおむつは水分を含むと色が変化して替え時を知らせるが、それでも世話や介護をする人は、色が変化しているかどうかを見るために、おむつをしている人の服を脱がさなければならない。色の変化が電気的に検出されれば、服を脱がさなくても近くにいるだけで分かるようになると染谷教授は説明する。

 またこの有機集積回路は、ばんそうこうのように皮膚に直接貼り付けることもできる。現在病院で脈拍や血中酸素濃度の測定に使用されている指輪型の計測器の代わりになることも期待される。

 医療関係のセンサーには現在、シリコンなど比較的堅い素材が使われることが多く、使用感を不快に感じる人もいる。1枚のフィルムならば柔らかく不快感を減らせる上、さまざまな場所に装着できるため、健康管理を行う側の医師や介護者に大きな可能性を与える。

 染谷教授によれば試作品は、電気抵抗の変化が生じる湿度や圧力、温度などをモニターできる。広範囲で使用されるようになる前に、電力消費が減るように改良したいという。(c)AFP