【2月10日 AFP】フランス第3位の日刊紙リベラシオン(Liberation、左派系)の経営権を握る大株主が、赤字続きの同紙を「ソーシャルネットワーク」化する再建構想を打ち出した。驚き激怒した記者たちは、週末の同紙1面をジャックして徹底抗戦の構えを示している。

 再建計画では、新聞のソーシャルネットワーク化に加え、首都パリ(Paris)中心部にある賃貸料数百万ユーロの本社ビルをカフェやテレビスタジオ、ベンチャー企業向けオフィススペースなどを備えた24時間オープンの文化センターに変身させるという。

 これに対しリベラシオンの記者たちは、週末の同紙1面を全面使って抗議声明を掲載。「われわれは新聞だ。レストランではないし、ソーシャルネットワークでもない。文化センターでもテレビスタジオでもなければ、バーでもベンチャー養成所でもない」と主張した。

 リベラシオンの社員らは6日、計画を知った直後に抗議の24時間ストライキを実施。しかし9日には投票で、今後はストではなく紙面上で「不法プロジェクト」に抗議していく方針を決定した。

■哲学者サルトルが創刊、反骨的な報道が特徴

 1973年に仏哲学者ジャンポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)が左派紙として創刊したリベラシオンは、写真に重点を置き、しばしば反骨的な立場を取る報道で主要紙の一角を担ってきた。特に、左寄りの風潮が強いパリでは読者が多い。だが、競合する中立系のルモンド(Le Monde)や保守系のフィガロ(Le Figaro)には長年後れを取っており、現在の発行部数はわずか10万部で赤字経営に陥っている。

 フランスの新聞業界も他の欧米諸国の例に漏れず、インターネットに読者や広告主を奪われて厳しい経営を迫られている。国からの支援も十分ではない。2013年、リベラシオンは100万ユーロ(約1億4000万円)超もの赤字を計上。販売部数も15%減少した。