【2月9日 AFP】シリア赤新月社(Syrian Red Crescent)は8日、同国中部のホムス(Homs)旧市街の反体制派支配地域で2年近く身動きが取れなくなっている住民らに、初の人道支援物資を届けた。この際、赤新月社のチームは攻撃を受けたという。

 赤新月社は短文投稿サイト「ツイッター(Twitter)」で、「砲撃や銃撃を受けながらも、われわれは食料250箱と衛生キットおよび慢性疾患の薬190箱を辛うじて届けた」と述べた。これらの支援物資は、近くの政府支配地域にある国連の倉庫で数か月前から滞っていた。

 長らく遅れていた人道支援は、国連(UN)の仲介で政府と反政府派が3日間の「人道的停戦」に合意したことで実現した。前日の7日には政府軍に包囲されている同地域から、子どもや女性、高齢者ら83人が避難した。国連のバレリー・エイモス(Valerie Amos)人道問題担当事務次長・緊急援助調整官は停戦を称賛し、向こう数日内に住民の避難と支援物資の輸送をさらに実施する計画があると語った。

 国連は約2500人を対象に緊急食料配給を実施するとともに、旧市街からの避難者や残留を選んだ住民に医療品や寝具類、現金などの支援を行う意向を表明している。人道支援活動家によると、住民は飢えに苦しみ、オリーブや野生の穀類で生き延びているという。

 輸送途中の攻撃について赤新月社は、トラックを狙った発砲とトラック近くへの迫撃砲の着弾で運転手1人が負傷したと主張。一方、国営シリア・アラブ通信(SANA)は、支援要員4人が負傷したと伝え、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)はこの地域で2人が死亡したと報告した。

 また、ホムス県のタラル・バラジ(Talal al-Barazi)知事は、支援物資の輸送車両2台が旧市街に入ったものの、他の車両は「テロリスト集団」が迫撃砲を道路に撃ち込んだため旧市街入りが阻止されたと語った。政府は反体制派を「テロリスト」と呼んでいる。(c)AFP