【2月7日 AFP】ソチ冬季五輪は6日、フリースタイルスキー女子モーグル予選が行われたが、会場となったエクストリーム・パーク(Extreme Park)で、ちょっとした騒ぎがあった。

 フリースタイルスキー男子に出場するオーストラリアのデイブ・モリス(Dave Morris)選手の家族が、この日の予選に出場したオーストラリアの女子選手たちを応援しようと「ボクシング・カンガルー(Boxing Kangaroo)」と呼ばれる、赤いボクシング・グローブを着けた黄色いカンガルーを描いた旗を掲げたところ、運営スタッフらが制止しようとしたという。

「このカンガルーは反逆者だね」とモリス選手は話す。「応援に来た人たちは持ち込みたいものを持ち込むべきさ。好きなように応援できるからこそのサポーターだからね」

 この旗は2010年のバンクーバー冬季五輪で選手村に掲げられて同じような騒ぎを引き起こし、掲げるのが禁止されていたが、モリス選手はそのことを全く知らなかったという。

 モリス選手は「そんな話は初耳だよ。そんなことは全然知らなかった。国旗とカンガルーの旗、それに兄は緑色と金色のスーツを持ってきていて、しかも同じ色のかつらまで用意しているよ。髪がないからね。このくらいはそろえておかないと、ごった返した観客席の中で見つけられないよ」と話した。

 バンクーバー冬季五輪では、「ボクシング・カンガルー」の旗は登録商標であるため、会場内でこの旗を掲げる行為は運営規則に違反すると主張する国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)とオーストラリアの選手団が対立した。

 オーストラリア選手団のイアン・チェスターマン(Ian Chesterman)団長は7日、選手団はモリス選手の家族を全面的に支持していると述べた。「彼らは素晴らしい。われわれはモリス家の人々が大好きだ」「ボクシング・カンガルーはここ数年、オリンピックにおけるちょっとしたスターであり、わが選手団のシンボル的存在だ。バンクーバー五輪の選手村で物議を醸したこの旗だが、今回も選手村で掲げていく」

 オーストラリアのスポーツの象徴として「ボクシング・カンガルー」のイラストが知られるようになったのは、国際ヨットレース、アメリカズカップ(America's Cup)の1983年大会でオーストラリア・チームが初優勝したときだ。「ボクシング・カンガルー」の権利は後に、このときの勝利艇、「オーストラリアII(Australia II)」号のオーナーだった実業家アラン・ボンド(Alan Bond)氏から、AOCが買い取った経緯がある。(c)AFP