【2月6日 AFP】生体工学を用いて製作した義手「バイオニック・ハンド」を装着した患者に、手に取った物体の触感や形状を感じさせることに世界で初めて成功したと、欧州の研究チームが5日、発表した。

 研究を行ったのは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(Ecole Polytechnique Federale de LausanneEPFL)とイタリア・ピサ(Pisa)にあるバイオロボティクス・イスティトゥート(BioRobotics Institute)の研究者ら。研究結果は、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に掲載される。

 この機械義手を装着したのは、およそ9年前に花火の事故で左手を失ったデンマーク出身のデニス・アーボ・サーアンソン(Dennis Aabo Sorenson)さん(36)。「物を手に取ってみると、硬いか柔らかいか、丸いか四角いか分かります」と感想を述べている。

 サーアンソンさんが装着した義手の指先には、高性能センサーが数個ずつ装着されており、手術で上腕に埋め込んだ数個の電極にワイヤーを通じて電気信号を送るようになっている。

 安全面での規定により電極は30日後に取り除かれたが、専門家らは、数年間にわたって使用しても問題はないと考えている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN