だが中でも、火砕流が死因だったことを最も強く示唆する証拠は、熱応力によってできる骨端部の十字の亀裂だった。論文によると、この現象は、紀元79年のベズビオ(Vesuvius)火山の噴火で埋もれたイタリアの古代ローマ都市ポンペイの犠牲者の骨にもみられたものだという。

 熱河生物群の堆積物が火山性のものであることは、これまでの研究で明らかになっていた。また従来の研究では、陸生や水生の生物、さらに鳥類といった多種多様な生物の化石が一つの地域に密集しているのは、大量死が起きたためだろうと推測されていたが、火山噴火をその原因であることを裏付ける強力な証拠がなかった。

 今回の論文では、火山から噴出した火山灰流が多数の死んだ生物を湖底まで押し流し、酸素に乏しい状態で瞬時に埋もれさせたのだと推測している。「火砕流で運ばれ、中に閉じ込められた陸生脊椎動物の死骸は、このプロセスを通して非常に保存状態の良い化石となったのは明らかだ」という。(c)AFP