【2月5日 AFP】恐竜などの古代生物化石の宝庫とされる中国北東部の地層は、イタリアの古代ローマ都市ポンペイ(Pompeii)で起きたのと同様の火山噴火によって形成されたとする研究論文が4日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 中国東北部・遼寧(Liaoning)省西部にある易県累層(Yixian Formation)と九仏堂累層(Jiufotang Formation)層として知られる岩石質の地層には、約1億2000万年前の白亜紀初期に生息していた驚くほど多種多様な生き物の化石が眠っている。

 この化石群は「熱河生物群(Jehol Biota)」と呼ばれ、太古に消失した湖や針葉樹林に生息していた恐竜、翼竜、原始鳥類や哺乳類の他、カメ、トカゲ、淡水魚、カエル、植物や昆虫まで、世界で発見された中で最も豊富で幅広い種類の化石が発掘される場所となっている。化石の多くは保存状態が驚くほど良く、古生物学者にとって貴重なうろこ、羽毛、体毛、皮膚などが残っている場合もある。

 中国・南京大学(Nanjing University)の姜宝玉(Baoyu Jiang)氏が率いた研究によると、保存状態の良さの秘密は、荒々しい火山活動によって辺り一帯に生息していた生物が死に絶え、火山灰に埋もれて永久に閉じ込められたことにあるという。

 鳥類と恐竜の化石14点と、それらが見つかった黒ずんだ色の薄い堆積層5か所を詳細に調査した研究チームによると、生物を滅ぼした大きな要因は火砕流だった。火砕流は高温の窒息性ガスと超微粒の火山灰でできており、疾風のような速度で移動する。

 化石標本を顕微鏡で調べたところ、植物の破片には黒ずんだ炭素の筋がみられ、動物の骨格化石では含気骨の内部が微細な石英の粒で満たされていた。