【2月2日 AFP】米西海岸ではここ数か月、原因不明のままヒトデが大量死している。ヒトデは海洋生態系保護のカギを握るものだとして、生物学者たちは懸念を深めている。

 研究者らがヒトデの大量死に気付いたのは、昨年6月。米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)・国立野生動物保護センター(National Wildlife Health Center)のジョナサン・スリーマン(Jonathan Sleeman)所長によると、「野生のものから飼育されているものまで、さまざまな種類のヒトデが死んでいる」という。

 同年12月にこのセンターが発表した声明によれば、死んだ個体数が最も多いのはムラサキヒトデ(学名:Pisaster ochraceus)とヒマワリヒトデ(学名:Pycnopodia helianthoides)。ヒマワリヒトデは世界最大級のヒトデとされており、幅1メートルを超えるものもある。

 死んだヒトデに最もよく見られる症状は、腕にできる白色病変だ。感染が原因とみられており、病変が急速に広がって腕が切断され、その数日後には死んでしまう。

 米ワシントン(Washington)州のピュージェット湾(Puget Sound)やカリフォルニア(California)州沿岸、カナダ・ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州のサリッシュ海岸(Salish Sea)では、一帯に生息していた個体が全て死んでしまったとみられ、感染後の致死率は約95%に達するという。

 過去数十年にわたりこれら各地の生態系を調査してきた研究者らも、感染の原因をまだ特定できていない。

 米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)の生態学・進化生物学部長、ピート・ライモンディ(Pete Raimondi)教授はAFPの取材に対し、現在こうしたヒトデの大量死の原因として研究者らが考えているのは、寄生生物やウイルス、細菌などの病原菌だと説明している。これらがヒトデに感染し、何らかの形で免疫系に危険を及ぼしているのではないかという。

 免疫系が弱ったヒトデはさらに細菌に感染しやすくなり、「二次感染」が起こる。それが、現在の状況を引き起こしている主な原因ではないかとみられている。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI