【1月31日 AFP】昨年12月のスキー事故で、一命は取り留めたものの人工的な昏睡(こんすい)状態に置かれている元フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)ドライバーのミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏(45)を、覚醒させる治療が始まっていると、同氏の広報担当が30日、声明で発表した。

 これによると、担当医らがシューマッハ氏を昏睡状態に保っている鎮静剤の投与量を減らし始めているが、意識が戻るまでには時間がかかる恐れもあるという。

 さらに、「当初は家族への配慮から、この情報は治療が軌道に乗るまで公表しないと関係各方面で取り決めていた」ことも明かされ、「今後さらなる情報は提供されないことを了承願う」と伝えた。

 同氏を覚醒させる治療がいつ始まり、いつ完了する予定なのか明らかにされていない。仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(Journal du Dimanche)が26日にこの治療について報じると、以後同様の報道が相次いだため、家族はやむなく今回の声明を出すことになった。

 シューマッハ氏は昨年12月29日、仏アルプスのリゾート地メリベル(Meribel)で息子や友人らとスキー中、ゲレンデ外で転倒して岩に頭をぶつけた。その衝撃で着用していたヘルメットが割れ、頭部に重傷を負った。直ちにヘリコプターでグルノーブル大学病院(Grenoble University Hospital)へ搬送され、現在も同病院の集中治療室で治療を受けている。

 シューマッハ氏が完全に回復できる見込みがあるかどうかについては、依然分かっていない。専門家らは、患者を人工的な昏睡状態に3週間以上置いておくことはまれであり、また同氏の回復の次の段階は複雑なものになると見込まれ、容体悪化の危険性も高いと指摘している。(c)AFP/Daniel ABELOUS