■割れずに衝撃を吸収

 研究チームは、自然界から学んだこの事実に倣い、3次元(3D)レーザーを用いてスライドガラスに極小のひびを刻み込み、その内部をポリマーで満たした。するとガラスの強度は200倍になった。

 ひびを刻み込んだガラスは、衝撃を加えても粉々に割れずに少したわんで曲がり、衝撃をうまく吸収した。

 折れるまで「伸びる」ことができる変形率は、標準的なガラスが0.1%しかないのに対し、ひびを刻んだガラスでは5%近くあった。

 この強化ガラスは、防弾窓、眼鏡、スマートフォン(多機能携帯電話)の画面などに応用される可能性がある。

 ガラスは、透明性、硬さ、耐化学薬品性、耐久性など機能的に優れている点が多いものの、最大の難点はその「もろさ」にあった。

 論文の共同執筆者の1人、フランソワ・バルトラ(Francois Barthelat)氏は、このもろさを解決するための今回の新手法は「非常に経済的」だと説明し、「必要なのは、あらかじめ決めておいたポイントに焦点を正確に合わせることができるパルス状レーザービームだけ」と述べた。

「われわれが開発した3Dレーザーでひびを刻む技術は、容易にスケールを拡大して、より大きくて厚みのある様々な形状の部品に応用が可能だ」

(c)AFP/Mariette LE ROUX