【1月29日 AFP】タイ政府は28日、総選挙を予定通り2月2日に実施すると発表した。

 反政府デモを続けている野党支持派は、与党が再び政権に就くことを防ぐため投票を妨害する構えを見せており、選挙管理委員会は投票で衝突が発生する恐れがあるとして、選挙を120日延期すべきだと訴えていた。だが、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相と選管委との協議の結果、予定通りに実施することで合意したという。

 首都バンコク(Bangkok)で3か月近く前から続いている反政府デモでは、手投げ弾による攻撃や銃撃、警官隊などとの衝突により少なくとも10人が死亡している。

 デモの参加者らは、選挙を経て発足したインラック政権が退陣した上で、選挙によらない「人民評議会」を立ち上げ、その監督の下で改革を進めて裕福なインラック一族による政界支配を終わらせることを要求している。

 タイでは、インラック首相の兄タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相が軍部のクーデターで失脚した2006年以降、政情不安が続いている。

 タクシン氏は汚職で有罪になり、収監を避けるため国外に出てアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)を拠点に活動している。反タクシン派は、タクシン氏が妹のインラック氏の政権を国外から操っていると批判している。

 主要野党の民主党(Democrat Party)は、真に民主的な選挙の実現と次期政権による権力乱用の防止のためには改革が必要だとして、2月2日の総選挙をボイコットする意向を表明している。(c)AFP/Boonradom CHITRADON