【1月27日 AFP】第1次世界大戦(World War I)の開戦から100年後、中国と日本は互いに相手を悪者扱いしようと、ドイツの歴史の暗いページを開くことに余念がない。

 専門家らによると、中国国営メディアは、これまでの日本の中国侵略についての発言などを利用し、安倍晋三(Shinzo Abe)首相をナチス・ドイツ(Nazi)の総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)と比較している。中国はまた安倍首相にドイツがナチスついてしたような謝罪と悔恨を求めている。

 一方で安倍首相は、先日スイスで開かれた世界経済フォーラム(World Economic ForumWEF)年次総会(ダボス会議)で、日本と中国の関係について、第1次世界大戦前の英国とドイツの関係を引き合いに出し、1914年当時の英独は経済的に緊密な関係にあったにもかかわらず、戦争が勃発したと述べた上で、両国間で不用意な紛争は起こってほしくはないと語った。

 昨年12月26日に安倍首相が、中国側が「東方のナチス」と表現するいわゆるA級戦犯もまつられている靖国神社(Yasukuni Shrine)を参拝して以来、中国政府は同首相を激しく非難してきた。

 専門家たちが粗雑なプロパガンダと指摘したのが、共産党機関紙・人民日報(People's Daily)の海外版に掲載された「安倍にヒトラーのDNA」と題された記事だ。また、国営紙・環球時報(Global Times)の英語版は前週、かぎ十字が描かれた日の丸から血がしたたり落ちている漫画を掲載した。

 日本のある歴史学者は、1995年、当時の首相、村山富市(Tomiichi Murayama)氏は過去の侵略について「明確な謝罪」をしたと述べ、政府は村山談話を踏襲していくべきだが、問題は安倍首相がそれを否定するような言動をしていることだと語っている。(c)AFP/Kelly OLSEN