【1月20日 AFP】マレーシアの野党・人民正義党(PKR)の指導者、アンワル・イブラヒム(Anwar Ibrahim)元副首相(66)が20日、日本への入国を拒否されたとして「困惑と驚き」を表明した。同党はアンワル氏が入国できなかった背後に、マレーシアの連立与党による圧力があったのではないかと疑念を呈している。

 アンワル氏によれば19日、個人的な訪問のため成田国際空港(Narita International Airport)に到着したが、1999年に汚職とイスラム国であるマレーシアで違法とされている同性愛で有罪になったことを理由に、日本の入国管理局から入国拒否を告げられたという。

 99年の有罪判決により、当時頭角を現していたアンワル氏は、マレーシアで長期政権をとる与党統一マレー国民組織(United Malays National OrganisationUMNO)から追放され服役したが、この事件はアンワル氏の政敵によるでっち上げだったというのが大方の見方だ。

 その後、08年の総選挙で野党が躍進すると、アンワル氏は再び同性愛容疑で逮捕されたが、12年に無罪となり、判決を不服としたマレーシア政府が現在、上訴している。また12年末には、政府に抗議する違法集会を扇動したとして起訴されたが、裁判所は今月上旬、これを却下している。

 今回、アンワル氏は日本の入管に対し、99年の判決は入国を禁じる理由として無効であり、06年以降、過去3回にわたって問題なく日本を訪れていると述べたが、入管からは曖昧に、もっと最近の「報告」に基づいた対応だと告げられたという。

 AFPの取材に対しアンワル氏は「今回の出来事には困惑し、衝撃を受けている。一つの民主主義国家による、(他国の)野党党首であるベテラン政治家への対応ではない」と述べ、マレーシア政府に「この出来事に関し調査し、日本政府に強く抗議するよう」求めた。(c)AFP