【1月17日 AFP】欧州議会(European Parliament)は15日、ハチミツに含まれる花粉がハチミツの原材料ではなく、元々の成分であるとする定義で合意した。複数の環境団体は、この取り決めが遺伝子組み換え作物の普及を促進するものとして批判している。

 欧州議会の声明によると、花粉を原材料ではなくハチミツの天然成分と定義する採決では、賛成が430、反対が224だった。


 採決の結果、遺伝子組み換え生物(GMO)含有量に関する現行のEUの規定に従い、GMOの花粉については、ハチミツの内容量の0.9%を超える場合にのみ容器への表示が義務付けられることになった。

 しかし声明によると、花粉の含有量が0.5%を超えることは通常ではありえないことから、表示義務が課されることは事実上ないという。

 EU司法裁判所(European Court of JusticeECJ)は2011年、花粉はハチミツの原材料であるため表示義務があるとの判決を下していた。

 EUではハチミツの約40%が輸入されている。うち半分はトウモロコシなどの遺伝子組み換え作物が一般的なアルゼンチンやメキシコなどの中南米産だ。

 今回の取り決めについて複数の環境団体は、ハチミツの純度を最も重視する消費者や養蜂家をないがしろにし、GMO作物の普及を促進するものとして批判した。

 ハンガリー社会党の欧州議会議員も「欧州委員会はGMOの問題を過小評価すべきではない。中南米、カナダ、中国の生産者にGMO表示を義務付けるべきだ」と語気を強めた。

 一方、議会を通してこの提案を推し進めてきた英保守党のジュリー・ガーリング(Julie Girling)氏は、生産者の負担が増すことになるため、それを期待するのは現実的ではないと述べた。

 今後は、個別の審議を経て各加盟国が最終的な決定を下すことになる。(c)AFP