【1月17日 AFP】年老いた大きな樹木のほうが、若く小さい樹木よりも大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収していることが分かったとする研究が、15日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 従来、古く大きな樹木は、温室効果ガスであるCO2を比較的吸収しないと考えられてきたが、これを覆す結果となっている。

 研究チームは、403種の樹木67万3046本のデータを分析。その結果、大きく年老いた樹木のほうが成長が速く、より多くのCO2を吸収していることが判明した。対象となった樹木の分布は6大陸にまたがり、最高齢の木は樹齢80年だった。

「人間になぞらえれば、思春期を過ぎても成長が遅くなるどころか、むしろ加速し続けるようなものだ。中年で体重が500キロになり、退職時には1トンになっているような計算だ」と、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)のネイサン・スティーブンソン(Nathan Stephenson)氏はAFPの取材に語った。

 樹木は大気中のCO2を吸収し、木の幹や枝、葉に蓄える。このことから森林は炭素吸収源とも呼ばれているが、気候変動に対する森林の影響の是非については現在も活発に議論されている。

 スティーブンソン氏によれば、古い森林の方が若い森林よりもCO2を吸収することはすでに知られていたが、古い森林にはあらゆる大きさの樹木が含まれており、どの木の成長が早いか、言い換えれば、より多くのCO2を吸収する木はどれかについては明確に把握されていなかった。

 しかし今回の研究の結論として「大気中のCO2の削減については、大きな木のほうが良い」とスティーブンソン氏は述べた。

 調査において樹木の「大小」という言葉は、同じ樹木の種の中で相対的に表現した。例えば、セコイアオスギの場合では、幹の直径が3メートル未満は「大きい」とみなされなかったが、他の種では直径50センチを超えると「大きい」と判定される木もあった。(c)AFP