【1月17日 AFP】イタリア政府は16日、シリアから搬出した廃棄予定の化学兵器を米国の輸送船へ積み替える作業を行う港を決定した。これについて、地元は反発している。

 イタリアでの化学兵器の積み替えについて、ローマ(Rome)で開かれた議会の公聴会でマウリツィオ・ルピ(Maurizio Lupi)インフラ・運輸相は議員らに対し、「政府はジョイアタウロ(Gioia Tauro)港が最適と判断した」と発表した。

 この積み替え作業は、内戦が続くシリアの化学兵器を6月30日までに全廃するという国連(UN)主導の廃棄計画の一環で、シリアからデンマークの輸送船に積み込まれ搬出された約500トンの化学物質を、海上で廃棄処理を行える米国の輸送船「ケープ・レイ(Cape Ray)」に積み替えるというもの。

 ルピ氏によると、マスタードガスや、サリン、VXガスといった神経ガスの原料となる化学物質が収められたコンテナ約60基を、米輸送船へクレーンを使って積み渡すだけで、「陸上に貯蔵することはない」としている。

 ルピ氏と共に公聴会に出席した化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)のアフメト・ウズムジュ(Ahmet Uzumcu)事務局長は、積み替え作業が行われるのは「2月初旬」の見通しで、48時間以内に終了するという。同事務局長は、「イタリアの寛大な貢献に感謝したい」と語った。