【1月10日 AFP】2016年米大統領選挙の共和党候補として有力視されているニュージャージー(New Jersey)州のクリス・クリスティー(Chris Christie)知事の側近らが、幹線道路の橋を閉鎖することで故意に交通渋滞を誘発したとされる疑惑が持ち上がっていた問題で、同知事は9日、この問題に関与していたスタッフが自分をだましていたと認めた。これにより、同氏の大統領選出馬の夢が断たれる可能性を指摘する声も上がっている。

 昨年9月に4日間にわたって閉鎖されたのは同州とニューヨーク(New York)を結び多数の通勤・通学者が利用するジョージ・ワシントン橋(George Washington Bridge)。これにより、州内のフォートリー(Fort Lee)は大渋滞に見舞われた。企図したスタッフには、クリスティー氏が再選を目指し知事選に立候補していた際に支持を表明しなかった民主党のフォートリーの首長に嫌がらせをする意図があったとされる。

 2時間近くに及ぶ記者会見で謝罪を繰り返したクリスティー知事は、側近らの関与を証拠付ける電子メールの存在が8日に公表されるまで、同橋の閉鎖の陰に政治的意図があったことを知らなかったと主張し、幹部スタッフ1人の解雇も発表した。同知事は記者団に対し「この問題については、計画・実行のいずれの段階でも、認識も関与もしていなかった。私のチームの一部の者の行為に、当惑し、恥辱を覚える」と語った。

 このスキャンダルに同州住民の多くは憤慨しており、政局アナリストの間では共和党がポストオバマを狙う大統領選の有力出馬候補を失ったのではないかという臆測も出ている。クリスティー氏本人も「自問自答し続けている」ことを認めたが、大統領選まではまだ34か月あるとして、今回の騒ぎが出馬の決断に影響するかどうかについてはコメントを拒否した。(c)AFP/Michael Mathes