【1月9日 AFP】覆面の武装集団が占拠し、政府軍とのにらみ合いが続いているイラク西部ファルージャ(Fallujah)市から、1万3000世帯以上の家族が脱出したと、非政府組織(NGO)「イラク赤新月社(Iraqi Red Crescent)」が8日、発表した。同市は人道的な危機に陥っているという。

 ファルージャでは交通巡査が街頭に復帰し、一部商店が再開、車の通行も増えている。しかし、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装組織「イラク・レバント(地中海東岸地域)のイスラム国(Islamic State of Iraq and the LevantISIL)」はイラクのイスラム教スンニ(Sunni)派に対し、シーア(Shiite)派主導のイラク政府と戦い続けるよう呼び掛けたており、同市は依然として衝突と砲撃に揺さぶられている。

 シリアと国境を接する西部アンバル(Anbar)州に位置するファルージャと、その近くの州都ラマディ(Ramadi)の一部は、数日間にわたって武装集団の手中にある。武装集団が大都市を公然と支配したのは、2003年の米国主導の侵攻後の反乱以来。アンバル州では1週間余りの戦闘で250人以上が死亡した。

 イラク赤新月社は8日、アンバル州全体で8000世帯以上に人道的援助を行ったと発表。1万3000以上の世帯が避難し、親戚や学校、その他の公共施設で暮らしている、と付け加えた。

 イラク担当国連特使のニコライ・ムラデノフ(Nickolay Mladenov)氏は声明で「アンバル州は人道的に危機的な状況にあり、作戦が続くにつれて悪化する様相だ」と述べた。「ファルージャの情勢は特に懸念され、食糧、水、救命医薬品が底をつきはじめている」

 現地のAFP 記者の報告によると、武装集団はファルージャ周辺地域の各地区への入口、橋梁などに展開している。市内の商店は一部再開、交通信号も復活しているが、近くに展開している政府軍の攻撃の脅威にさらされている。

 政府軍報道官は、ファルージャに対する攻撃は民間人の犠牲者が出る恐れがあるため保留されている、と発表している。(c)AFP