【1月8日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)政権を大きく揺るがしている汚職疑惑をめぐり、首都アンカラ(Ankara)の警察官350人が7日、解任された。地元メディアが報じた。

 報道によると、政府は同日午前0時に政令を出し、警察官350人の解任を発表した。350人の中には金融犯罪や密輸、サイバー犯罪、組織犯罪の捜査責任者らも含まれていた。これにより、一連の汚職疑惑関連で解任された警察官の総数はアンカラだけで560人に上ったという。

 一方、同国の最高司法機関である「裁判官・検察官高等委員会(HSYK)」は同日、新たに任命されたイスタンブール(Istanbul)の警察署長と同市の多数の検察幹部に対する捜査に着手した。この警察署長に対しては、汚職疑惑に関わったとされる容疑者の身柄拘束を妨害した疑いが持たれている。

 エルドアン首相はHSYKによる捜査について、現在は国外に亡命しているものの警察・司法当局に強い影響力を持っているイスラム教聖職者の支持者らが政権転覆を狙って企てた「卑劣な」陰謀と非難している。エルドアン氏は11年間の首相在任期間で最大の危機に直面しており、3月に地方選を控える中、問題の余波を抑え込もうと躍起になっている様子もうかがえる。

 一連の大規模な汚職事件をめぐっては昨年12月、アンカラ・イスタンブールの両市で、3閣僚の息子らを含む有力な実業家や政治家数十人が逮捕されている。エルドアン首相もこれに対抗して、イスタンブール警察署長を含む警察幹部を数百人規模で解任している。

 エルドアン首相に批判的な識者らは、同氏が自らの取り巻きを守ろうと必死になっていると指摘。さらに、解任されたイスタンブール警察署長の後任に選ばれたのが、これまで警察には無縁だった知名度の低い元知事だったことから、汚職事件の捜査阻止を目的とした動きに他ならないと批判している。(c)AFP/Fulya OZERKAN