■「全体としては順調」とOPCW

 一方で、関連施設に査察団を派遣している化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は、シリアの化学兵器廃棄計画は全体としては順調に進んでいるという見解を示した。

 OPCWのクリスチャン・シャルティエ(Christian Chartier)報道官はAFPの取材に「3か月間で膨大な量の作業が完了した」と述べた。「シリアの化学兵器は完全に無害化された。(化学兵器の原料になる)化学薬品や化学製品は国際的な管理下に置かれ、封印された。化学兵器製造・充填(じゅうてん)工場の解体は順調に進んでいる。シリアが化学兵器を製造・使用する能力はゼロになった」

 同報道官によると、2014年半ばまでにシリアの化学兵器を全廃するという期限には間に合う方向で作業は進んでいるという。

 その一方で、シリアの化学兵器廃棄の査察・検証を行う化学兵器禁止機関と国連(UN)の合同派遣団のトップであるシグリッド・カーグ(Sigrid Kaag)特別調整官は、シリアの化学兵器廃棄を予定通りに進めるための「取り組みを強化」するよう、シリア政府を含む全当事者に呼び掛けた。

 カーグ氏はAFPの取材に対し、この遅れはさまざまな障害の結果生じたものだと指摘し、激しい紛争地帯で化学兵器を廃棄するのは容易なことではないと強調した。(c)AFP