【12月24日 AFP】1日3回、何十人もの男性がそのホールを満席にする。大麻の煙と匂いが重苦しく立ちこめる中で、セックス描写が露骨なポルノ映画を鑑賞する──ようこそ「シャマ」へ。ここは国境に近いパキスタン北西部ペシャワル(Peshawar)。アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)がパキスタン側の牙城とする街にあるポルノ映画館だ。

 人目につくことを恐れるシャマの観客たちは顔を隠しながら、ヤギ市場とバス停の間にある映画館を訪れる。メインホールで上映されているのは、映画館の表に唯一広告が掲げられている流行の映画。成人指定のポルノ映画は1日3本、裏の部屋で上映される。入場料は200ルピー(約340円)。カラシニコフ銃を手にした警備員から簡単な身体検査を受けた後、素早く中庭を抜けて奥の会場に入る。

 上映は始まっており、席は労働者や農民や学生などで半分以上埋まっていた。極めて保守的なイスラム社会の閉塞感から「非日常」を求めてやって来た男性たちだ。大半は1人で来て、誰とも隣り合わないように席を空けて座る。

 観客たちはすぐに、日替わり上映の作品『友情』に見入った。シャマでの公開用に、ペシャワルよりも自由な東部の都市ラホール(Lahore)で制作された作品だ。主役の男性が恋人と、親に決められた婚約者たるいとこの間で揺れるストーリーで、どちらと結婚すべきか迷った男は、2人の女性を「テスト」することに。そして2時間の映画のほとんどは生々しいセックスシーンへと展開していく。