【12月23日 AFP】天使は実在するが、翼はなく、光の筋のような存在だ――ローマ・カトリック教会(Catholic Church)の最上位「天使学者」が、このような見解を発表した。

 昨今のニューエイジ(New Age、精神世界・スピリチュアル)ブームにより天使人気は再燃している。「キリスト教における天使は再発見されている」と、レンゾ・ラバトーリ(Renzo Lavatori)神父は伊ローマ(Rome)にある華やかなフレスコ画に彩られたルネサンス(Renaissance)様式のカンチェッレリア宮(Palazzo della Cancelleria)でAFPの取材に語った。

 ラバトーリ神父はさらに、「天使の存在を感じるほどには、その姿を見ることはない」「クリスタル製の花瓶で屈折した太陽光に少し似ている」と語った。

 バチカンが所有するカンチェッレリア宮では先週、天使を描いた美術についての会議が開催され、ラバトーリ神父も出席していた。

 同じ会議に出席した美術史家のバレリオ・マッシーモ・マンフレディ(Valerio Massimo Manfredi)教授によれば、天使の語源となる「アンゲロス(angelos)」という単語が初めて登場したのは、ミケーネ文明が栄えた3000年以上前のギリシャだ。アンゲロスとは古代ギリシャ語で「使者」を意味する。

 聖母マリア信仰の聖地「ロレート(Loreto)の聖なる家」のモンシニョール・ジョバンニ・トヌッチ(Monsignor Giovanni Tonucci)司教は、天使が明確な姿を持たない「純粋な霊魂」であったため、その時々の芸術家たちが創造力を自由気ままに駆使したと語り、「天使をめぐる文化史を追うことは人類史、あるいは少なくともわれわれの文明史をひも解くことである」と述べた。

 ラバトーリ神父は天使の「再流行」のためには一般的に広まった天使のイメージは必要だったと認めるものの、クリスマスシーズンに天使のイメージがちまたにあふれかえることには否定的だ。「ある程度は容認できるとしても、あれは真の天使の姿ではないことを知っておくべきだ。天使は翼をもっていないし子どもでもない」

 悪魔学の研究者でもあるラバトーリ神父は、今ほど天使が必要とされている時はないと力説する。社会にまん延する世俗化や物質主義が悪魔に「門戸を開いた」からだという。(c)AFP/Dario THUBURN