【12月23日 AFP】グリーンランド(Greenland)の氷床の下に、アイルランドの国土面積に匹敵する広大な氷底湖が存在するとの研究論文を22日、米科学者チームが英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表した。気候変動を取り巻く大きな謎の1つの解明につながるかもしれない発見だという。

 研究チームは2011年、グリーンランド南部の氷床で行った調査遠征で、年間積雪量の基準となる氷床コアを掘削した。その際、圧縮された万年雪の層の深さ10メートル地点で、氷の粒の交じった水に遭遇し驚いたという。予想では、その地点にあるのはスポンジ状の氷のはずだった。

 数キロ離れた別の場所で行った掘削でも、地下25メートル地点で万年雪の層に到達すると、同じ結果が得られた。

 この水の謎を解明するため研究チームは、米航空宇宙局(NASA)の地形マッピングレーダー搭載機と地中探知レーダーをけん引したスノーモービルで一帯を調査。氷の下に広大な湖が隠れているとの観測結果を得た。

 氷床下の湖はグリーンランド南東部に細長く広がり、面積は7万平方キロに及ぶ。水面があるのは氷床下5~50メートルの深さだという。

■世界最大の「かき氷」

 研究チームはこの氷底湖に蓄えられた水について、前年の夏の雪解け水だと考えている。湖は、地層内で帯水層が地下水を大量にため込むのと同様の働きをしており、万年雪の層の中にできた空間が水で満たされた結果、粒の粗い米国風のかき氷「スノーコーン」のような状態になったという。

 研究を率いた米ユタ大学(University of Utah)のリック・フォースター(Rick Forster)教授(地理学)は、氷底湖の水について「グリーンランドの厳しい冬の間でさえ、決して凍らないのは驚くべきことだ」と語る。

 研究チームによると、この氷底湖はしばらく以前から存在していて、人間の活動によって引き起こされた地球温暖化が原因で生じたものではないとみられるという。