【12月16日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)の監視プログラムを暴露して米当局に訴追された米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)による数々の暴露は、2013年の世界に衝撃を与えた。米当局が行っていた世界的なスパイ行為を暴き、監視国家に対する恐怖を呼び起こした。

 現在、ロシアに一時亡命中のスノーデン容疑者だが、同国に受け入れられるまでは、まるでスパイ小説さながらの、世界を舞台にした追いつ追われつのゲームのようだった。

 裏切り者か、勇気ある内部告発者か──スノーデン容疑者の暴露は、壮大なスケールで行われていた国家の情報収集のやり方を浮き彫りにし多くの人々に衝撃を与えた。

 彼によって何万もの文書が英紙ガーディアン(Guardian)やその他のメディアに漏えいされ、NSAによる情報収集活動の詳細が明らかにされた。

 毎年恒例の米誌タイム(Time)が選ぶ「今年の人」の最終候補にまで残ったスノーデン容疑者(選ばれたのはローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王)は同誌に対し、今回の暴露が政府の透明性の向上に役立つことを期待すると語った。

「私たちが最もたじろぐのは、そのような監視行為が理論的に可能だということではなく、社会の大半の人々がそのような行為が可能だということも知らないうちに行われていたことだ」と、スノーデン容疑者はメールを介した希少なインタビューで述べた。

■収集された大量のメタデータ

 スノーデン容疑者の暴露によって、膨大な個人メールや通話記録などから得られた情報、いわゆる「メタデータ」などをNSAが組織的に収集していることが明らかになった。市民の権利擁護団体は、NSAの行為を、人権を踏みにじる独裁的国家のようだと非難した。

 余波はそれだけにとどまらなかった。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は8月、NSAのプログラムの多くは必要だとしながらも、「透明性」を高める改革を約束した。

 オバマ政権はまた、同盟国の怒りをなだめる必要があった。とりわけ、NSAがドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の携帯電話を傍受していたと報じられてからは、両国の間に亀裂が入った。