【12月16日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は15日、第3次メルケル政権の閣僚人事を発表した。

 メルケル首相が党首を務めるキリスト教民主同盟(CDU)での会合で決定した閣僚人事では、財務相には大方の予想通りウォルフガング・ショイブレ(Wolfgang Schaeuble)氏の留任が決まった。

 一方、意外性のある人事として、医師資格を持ち7人の子どもの母親であるウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)労働社会相(55)が女性初の国防相に指名された。独メディアは、メルケル首相の後継者をにらんだ人事であることは明らかと報じている。

 ベルギーのブリュッセル(Brussels)生まれのフォンデアライエン氏は英語とフランス語にも堪能。ロンドン大学経済政治学院(London School of EconomicsLSE)で学位を取得し、欧州と米国の双方に人脈を持つ。

 メルケル首相にとってフォンデアライエン氏は、選挙期間中の貴重な女性票の獲得源であった一方、首相批判も恐れない姿勢から、ライバルとなる可能性も秘めていた。

 同氏については、一部の有権者や同僚から、優等生的な態度や、規律と完璧なヘアスタイルをもって家庭と仕事を両立させる「スーパーママ」ぶりが少々威圧的だと批判されてもいる。

 独自路線を貫くことから「ソリスト」とも呼ばれるフォンデアライエン氏のCDU入党は30代の時で、政界入りが遅かったために党内での強力な政治基盤は築けていない。

 フォンデアライエン氏はこれまで、大連立を組む中道左派・社会民主党(SPD)が掲げる育児手当拡大や有給での父親育児休暇などの社会改革を促進し、CDUの新しい党イメージにつなげたとの評価を得ている。(c)AFP/Deborah COLE、Frank ZELLER