【12月15日 AFP】米陸軍は12日、軍用車両に搭載したレーザー兵器の試験を初めて実施し、成功したことを明らかにした。

 試験は米ニューメキシコ(New Mexico)州ホワイトサンズ・ミサイル実験場(White Sands Missile Range)で6週間にわたって実施された。軍用車両の屋根に取り付けたドーム型の砲塔に設置した高エネルギーのレーザー兵器で、90発以上の迫撃砲弾と数機の小型無人機を撃ち落としたという。

「高エネルギーレーザー移動デモンストレーター(High Energy Laser Mobile DemonstratorHEL MD)」と呼ばれるこの兵器システムは、米ボーイング(Boeing)が主契約者になっている。仮に米軍が導入を決めても、実用化は2022年以降になる見通しだ。

 HEL MDは、迫撃砲やロケット砲などの攻撃から遠隔地にある基地を守ることを目的に設計され、3~5基のレーザーを搭載している。イラクやアフガニスタンにある「前進作戦基地」はこの10年ほど、こうした攻撃を頻繁に受けてきた。

 複数の関係者によると、今回の試験で使用したレーザーの出力は10キロワット。次回は50キロワットのレーザーで試験を行い、最終的には出力100キロワットのレーザーを試す予定だ。今回は、射程2000~3000ヤード(1800~2700メートル)、口径60ミリの迫撃砲弾が使用されたが、今後さらに改良が進めば、迫撃弾よりはるかに速い速度で移動する巡航ミサイルなどもHEL MDで迎撃できるようになると見込まれている。

 米軍は数年前からさまざまなレーザー兵器の開発に投資しているが、結果はプロジェクトによってまちまちだ。ただ米海軍は2014年にも、「海上基地」として改造した輸送揚陸艦ポンセ(USS Ponce)に小型船舶の破壊や無人偵察機の撃墜が可能なレーザー兵器を実戦配備する予定だ。(c)AFP