【12月12日 AFP】(一部更新、写真追加)オーストラリア連邦最高裁は12日、首都キャンベラ(Canberra)がある首都特別地域(Australian Capital TerritoryACT)で施行された同性婚を合法化する法律を、無効とする判決を下した。

 連邦最高裁は、「現行の婚姻法(Marriage Act)は、同性カップルの結婚の成立または承認を法的に認めていない」との判断を示し、同性婚の是非については、州や特別地域の政府ではなく、連邦議会が決定すべきだとした。

 連邦最高裁は「憲法と現行の連邦法の下では、同性婚が法律により認められるべきかは、連邦議会が決めるべき問題だ」と述べている。

 オーストラリアは2004年、結婚を男女間のものと連邦法で規定。一方で、同性カップルにも結婚に準じた権利を認める「シビルユニオン」は、国内の大半の地域で導入されている。だが、シビルユニオンを結んだカップルは連邦法の下では「既婚」と認知されない。

 連邦最高裁がACTでの同性婚を認めれば、同様の州法を制定する動きが全国に広がり、連邦政府に対し全国規模での同性婚合法化を迫る圧力となるとみられていた。

 ACTで10月22日に成立した同性婚法の下では、これまでに27組の同性婚カップルが誕生しているが、今回の判決により、これらカップルの結婚は「違憲」であるとして無効になる。裁判所前で判決を聞いた同性カップルたちは、自分たちの結婚が無効とされたことに涙を流した。

 一方で今回の判決により、権利活動家らが今後進むべき道がはっきり示された、との声も上がっている。長く同性愛者の権利擁護活動を行ってきたロドニー・クルーム(Rodney Croome)氏は、議会が同性婚を合法化する権限を「確実に」持っていることが、この判決により「初めて確認された」と話している。

 また、最高裁の判決では、婚姻法が男女間の結びつきにのみ適用される一方で、憲法上では「結婚」の定義から同性カップルが本質的に除外されているわけではないことが示されたことから、同性婚は法的な問題ではなく、政治的な問題だということが明確になったと、前向きに捉える人々もいる。(c)AFP