【12月5日 AFP】英政府は4日、ツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)のユーザー向けに、訴訟関連の情報の取り扱いに関するガイドラインを公表する。これらの情報を漏えいすることで、気付かないうちに法を破ることを防ぐためだ。

 従来、こうしたガイドラインは新聞やテレビといった主要メディアに対してだけ出されていた。しかし今はこれらのメディアがニュースを独占する状態ではないことから、ソーシャルメディア向けにもガイドラインが作成された。

 英国には、訴訟についての報道や公での議論について厳しい規定があり、公平な裁判を損なったとみなされた場合は重い罰金が科される。また、一部犯罪の被害者の身元を公表することは違法だ。

 だが、ソーシャルネットワークの利用者がこうした規定を破るケースが増えており、多くは無知を原因とするものだ。

 社交界の名士、ピーチズ・ゲルドフ(Peaches Geldof)氏は先週、ロックバンド、ロストプロフェッツ(Lost Prophets)のボーカル、イアン・ワトキンス(Ian Watkins)から性的虐待を受けたとされる乳児の母親の名前をツイッターで流した。

 これについてゲルドフ氏は謝罪し、すぐにそのツイートを削除した。ツイートの内容は性犯罪被害者のプライバシー保護を定めた法律に違反している可能性があり、警察は立件するかどうか検討している。だが、裁判所のウェブサイトに母親の名前が誤って掲載されていたことが後になって判明している。

 ドミニク・グリーブ(Dominic Grieve)法務長官は、ブログやツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアの普及により、個人がたった1つの投稿メッセージで多くの人に影響を与えることができると述べ、「これはわくわくすることだが、刑事司法制度に課題をもたらす可能性がある」とした。その上で、「以前は、訴訟に関する情報を、訴訟に悪影響を与えるほど多くの人々に提供する機会を持っているのは主要メディアだけだったが、今は違う。今回の(ソーシャルメディア向けの)ガイドライン出すことに決めたのはこういう訳だ」と加えた。(c)AFP/Alice RITCHIE