【12月3日 AFP】ジンバブエの2億3000万パーセントに達する記録的ハイパーインフレーションの中、同国中央銀行で総裁を務めたギデオン・ゴノ(Gideon Gono)氏が11月29日、任期満了で辞任した。

 ゴノ総裁は、ジンバブエに対する経済的な攻撃が最も深刻で、ジンバブエの主権と経済的利益の保護が最も必要だったときに、それを守ることが自らの使命だと語っていた。だが一方で、ジンバブエ・ドルの発行に対する監視を怠ったことがハイパーインフレを引き起こし、2000年代後半の経済危機を招いたとして、批判を浴びた。

 後任の正式な指名があるまでは現副総裁が暫定総裁を務める。

 ゴノ総裁在任中の2000年、ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領が白人所有の農地を接収し黒人農民に分配する土地改革を本格導入したことで、ジンバブエの農業中心の経済は崩壊した。さらにムガベ政権による野党の弾圧などから、国際社会の制裁を受け、危機はいっそう悪化した。

 2008年の大統領選で不正があったとして与野党が衝突した末、ムガベ大統領は野党指導者のモーガン・ツァンギライ(Morgan Tsvangirai)氏と連立政権を樹立。首相に就任したツァンギライ氏は、経済崩壊の責任があるとしてゴノ総裁の辞任を要求したが、ムガベ大統領はこれを拒否し続けた。

 公式のインフレ率は2億3100万パーセントだが、一部専門家は実際には10億パーセント台に達したと推計している。

 ジンバブエは2009年に独自の通貨を放棄。以来、米ドルが広く流通している。(c)AFP