【12月2日 AFP】米カリフォルニア州(California)に住むコーラル・フェアチャイルドさん(13)は、携帯電話で友人にメッセ―ジを送るときはいつも、スナップチャット(Snapchat)を使う。このアプリを使って、自分撮りした顔に口ひげをつけたり、吹き出しを書いたりして送るのだ。「自分撮りした写真を、プリンセスにでもユニコーンにでもカスタマイズできる」と、フェアチャイルドさんは言う。

 恥ずかしすぎるメッセージでも心配することはない。すぐに消える仕組みだからだ。スナップチャットの売りは、開封から10秒以内で送った写真や動画が自然消滅することだ。

 同アプリは2011年9月のリリース以来、急速に人気を獲得した。当初は、写真が消滅することに由来する間違った安心感から、10代の若者たちが性的な写真を送る可能性があるのではないかと懸念された。

 しかし、そんな心配は取り越し苦労だったと、カナダの非営利デジタル・リテラシー団体「メディア・スマーツ(MediaSmarts)」のマシュー・ジョンソン(Matthew Johnson)氏は語った。同氏によると「スナップチャットが他のメッセージサービスより無謀な使われ方をしているという証拠はどこにもない」という。

 メッセージに画像が添えられることで、何もないテキストメッセージより誤解が生じる可能性が少なくなる。ジョンソン氏は、「大人の多くは、電子メールを読んだ際に相手が怒っているのか皮肉を言っているのかわからなかった経験があるだろう」と語った。だが、表情がわかる画像を一緒に送れば、真剣に言っているのではなく、ふざけているのだということを示すことができるとジョンソン氏は述べる。

 スナップチャットは、米SNSフェイスブック(Facebook)からの30億ドル(約3100億円)の買収提案を断ったと米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)で報じられ、話題になった。提示額以上の価値があると考えて売却を拒んだとみられている。

 スナップチャットは若い世代に人気がある。また、スナップチャット社のエバン・スピーゲル(Evan Spiegel)社長によると、利用者の70%は女性だ。

 同社の社会学調査員のネーサン・ユルゲンソン(Nathan Jurgenson)氏は、人々が、後になって悩まされることがない写真置き場として、このサービスをとらえていると述べる。「若い人たちは、ばかげていたり、あるいは少し恥ずかしかったりするけれど、でも友人と共有したいと思うことにこのサービスを使うと言っている」

 また、すぐに消えてしまうというアプリの特性のために、人々はより注意深くメッセージを見るという。

 メディア・スマーツのジョンソン氏は、写真と文字の融合がメッセージングサービスの新しい標準になるとみている。フェアチャイルドさんも、スナップチャットを携帯端末を使ったコミュニケーションの「素晴らしい次のステップ」だと表現する。

「知らない人とスナップチャットはやらない。それはおかしいでしょ」とフェアチャイルドさん。ただし、英国の人気ボーイズグループ「ワン・ダイレクション(One Direction)」のハリー・スタイルズ(Harry Styles)は例外らしい。フェアチャイルドさんは「(それでも)私たちが親友同士でない限り、私の変顔は送らないわ」と述べた。 (c)AFP/Glenn CHAPMAN