【11月29日 AFP】英国で、7億7000万円相当の仮想通貨「ビットコイン(bitcoin)」を保存したハードディスクをうっかり捨ててしまった男性が、ごみ処分場の埋め立て地で必死の捜索に当たっている。

 ビットコインはインターネット上で流通する仮想通貨。政府や中央銀行の裏付けはないが、オンライン決済可能な各種サービスや商品の購入に使えるほか、現実の通貨にも交換できる。ナカモト・サトシ(Satoshi Nakamoto)と名乗る謎のコンピューター専門家のアイデアを基に、2009年に誕生した。

 ビットコインの交換レートは最近急騰しており、今月27日には初めて1ビットコイン=1000ドルに達した。

 IT関連の仕事をしているウェールズ(Wales)在住の英国人、ジェームズ・ハウエルズ(James Howells)さん(28)は、まだビットコインの価値がタダ同然だった2009年に7500ビットコインを購入した。ビットコインを記録したハードディスクはその後数年間引き出しに保管していたが、日常生活や引っ越しのごたごたの中ですっかり中身を忘れてしまい、今年7~8月頃に何も考えずに捨ててしまったという。

 最近になって、捨てたディスクの中身を思い出したハウエルズさんは、震え上がった。もしディスクを見つけられれば億万長者になれると気付いたのだ。

 ハウエルズさんは自分の全バックアップファイルを調べたが、ビットコインのバックアップデータはなかった。

 こうしてハウエルズさんは、地元ニューポート(Newport)の広大なごみ埋め立て地で、気が遠くなるような捜索活動に直面することになった。28日、英国放送協会(BBC)の取材に応じたハウエルズさんは、次のように語っている。

「管理局の担当者が現在埋め立て中の処分場に案内してくれました。そこで目にしたのは、サッカー場ほどの広さの埋め立て地でした。とっさに『こいつは見込みなしだな』と思いました」

「管理局の人の話では、3~4か月前に運ばれてきたごみは1.5メートルくらいの深さに埋まっているだろうとのことでした。それを聞いた時、僕が恐れていたことが現実になったのです」

 警察などが埋め立て地で証拠を捜索する場合は通常、最大20人の作業員と掘削機器、複数の警察犬が動員されるという。だが、ハウエルズさんは「実際のところ、そんなお金も、大規模な捜索を実現させるだけの力も、今の僕にはありません。ディスクが絶対に見つかるという保証もないのに」と述べている。(c)AFP